この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システム、ERPなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

第2回:請求書について

今回から数回にわたり、在庫管理をするための基本的な前提知識についてお話してまいります。

タイの会社の業務システムに関して、日本のベテラン・システムエンジニアと話をしていて、話しが噛み合わないことが時々あります。

そして、話が「噛み合わない」テーマはタイというか東南アジア全般の商習慣と日本の商習慣の違いを理解していないことから発生していることが多いと感じます。

逆に、生産計画や生産管理など各国の商習慣よりもその会社の管理方法に依存する内容に関しては、タイだから特別にここを考慮しなくてはならないということはありません。

請求書の基本

さて、商習慣の違いと言っても、いろいろあるのですが、まずは請求書という切り口からお話いたします。

請求書は発行する場合(出荷の場合)と受け取る場合(仕入の場合)の2つがあります。以下は話を簡単にするため、出荷する場合を想定しながら記述します。

日本語で言うと、請求書、タイでは通常、英語でINVOICEと言っています。
INVOICEの本来の意味は「送り状」らしいのですが、現実的な運用ではINVOICEは請求書のことといっても差し支えないでしょう。

日本では信用取引の度合いが大きく、「締め請求」つまり月に1度だけまとめて請求書を送るという取引も多いと思いますが、タイでは「都度請求」つまり1回の出荷ごとにINVOICEを発行するのが基本です。
タイというよりも東南アジアや欧米では都度請求が基本と言ってもよいかと思います。

そして、多くのタイの会社ではINVOICEが顧客からのどの注文番号に対するものなのかという紐付け管理をしています。

また日本では、送り状が1伝票1品で管理することもあるようですが、タイでは1回の納品に含まれる全品がINVOICEに記載されている必要があります。

上記の説明のように、1回の送り状=1つのINVOICE、つまり1回の出荷/納品のタイミングで請求書を1つ発行することが基本です。

Delivery Note、Delivery Orderについて

しかし、会社によっては送り状と請求書を別にして運用しているケースもあります。
Delivery NoteとかDelivery Orderと言われる伝票を納品時に添付するという運用をしているケースを筆者は知っています。
Delivery Note, Delivery Orderはタイ国内にも知っていて当然・使って当然という認識の人もいれば、全く知らないで10年以上会社を操業している方もいらっしゃり必ず発行しなければいけない伝票ではありません。
恐らく、最初に運用ルールを作った人のやり方をそのまま今も続けているという会社が多いのではないかと筆者は推測します。

このような運用ですと、Delivery OrderもしくはDelivery Noteを3回出してから、INVOICEを1枚発行するという運用もあり得ます。

収益認識基準について

現状の多くのタイの中小企業では出荷=INVOICE発行=売上計上(つまり収益認識基準は出荷基準)という極めてシンプルな運用をしている会社が大多数と思われます。

しかし、IFRSとほぼ同様の基準であるらしいTFRS(Thai Financial Reporting Standards)の適用や、日本その他の連結子会社との取引などでは収益認識するタイミングは検収完了時点(収益認識基準は検収基準)のように変更する必要があるかもしれません。

そのような将来的な運用の変更に対応できるかどうか、ということはシステム選びの際には押さえておきたい事柄でしょう。

Debit Noteについて

Invoiceではなく、Debit Noteと呼ばれる書類を発行している会社もあります。
Debit Noteとは通常は発行済みのINVOICEに間違い等があり、金額を上乗せ訂正する際に金額上乗せ分だけを発行するのが基本ですが、最初からDebit Noteを発行してしまっても許されるようです。

Tax Invoiceについて

話はそれますが、タイではTax Invoiceという書類もよく目にします。
Tax Invoiceは売上に対して実際に入金されたときに発行する書類で、レシートのような位置づけです。Tax Invoiceという言葉から分かるように、VATやWithholding Taxが発生するということを国税に伝える目的でこの書類を出すようです。
したがいましてTax Invoiceは会計システムから出すことが多いようです。

以上請求書に関して、いろいろとお話しました。
文中に「~のケースもある」というような書き方で断定していない箇所も多々ありますが、実際に具体的な運用方法は会社によって異なる面もあり断定できません。また、こういうった運用ルールは将来的に変更する可能性もあるでしょう。

これらはタイで事業をしている企業様向けのシステム構築の際は、基本的な前提知識になります。弊社が扱っている生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システムEXEXはこれらの前提を当然ながら盛り込んだ設計になっております。