この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システム、ERPなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

第4回:貿易条件 (Incoterms)について

第3回では外貨と為替レートについてお話しました。

本日は外貨取引に必ずつきものの貿易条件についてお話いたします。
貿易条件まで知っていないと、生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システムの構築ができないのか?
Inventory Managementのためには、やはり知っておくべきと筆者は考えます。

貿易条件 (Incoterms) の種類

Incotermsとは聞きなれない言葉ですが、輸出入の実務経験者なら必ず目にするPacking Listには必ずこのIncoterms、貿易条件が記載されていることをご存知のはずです。

Incotermsとは簡単に申しますと、売主と買い手との間で貿易上の様々な費用とリスクをどちらが負担するかの条件のことで、1936年以来国際商業会議所 (International Chamber of Commerce: ICC) が策定・改訂を続けてきた業界標準のようです。

Incotermsで最も頻繁に使われているのは、CIF (Cost, Insurance and Freight)またはFOB (Free On Board)のどちらかであろうと思います。
CIF、FOB以外にも様々な定義がされており、詳しくは筆者が解説するよりもWIKIPEDIAをご参照された方がよろしいかと思います。

以下はWIKIPEDIAに掲載されていたIntercomsの大変分かりやすいまとめ図になります。

Incoterm 2010 輸出税関への申告 輸出港までの運搬 輸出港でのトラック荷下 輸出港での積込 海上・航空運送 輸入港での荷下 輸入港でのトラック積込 受取先への輸送 保険 輸入通関 輸入関税
EXW 買主 買主 買主 買主 買主 買主 買主 買主   買主 買主
FCA 売主 売主 買主 買主 買主 買主 買主 買主   買主 買主
FAS 売主 売主 売主 買主 買主 買主 買主 買主   買主 買主
FOB 売主 売主 売主 売主 買主 買主 買主 買主   買主 買主
CFR 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主   買主 買主
CIF 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主 売主 買主 買主
CPT 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主
CIP 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主
DAT 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主
DAP 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 買主 買主
DDP 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主 売主

 

貿易条件 (Incoterms) と仕入処理

これほどたくさんあるIntercomsを全て覚えていることは筆者には不可能ですが、重要なポイントはこれらの取引条件を全て覚えておくことではありません。

重要なポイントとは

費用負担の義務とリスクが買主に移転されるのはいつか

を一回一回の輸出入で担当者が正確に把握していること、と筆者は考えます。
上記のWIKIPEDIA転載一覧表を見ると、そのタイミングは11回あるということが分かります。

仕入れの場合なら、費用負担の義務とリスクが買主に移転されたタイミングで仕入計上するのが原則的には正しい方法でしょう。

なおIFRSでは、Incotermsごとに収益認識基準を定義しており、出荷基準、船積基準、引渡基準の3つの収益認識基準があるようです。

IFRSの基準はタイで本当に実効力があるのか?

上記でIFRSが定める3つの収益認識基準についてお話しましたが、実はこれは会計士/会計事務所によって解釈が分かれているのではないか、というのが筆者の実務経験上の感想です。実際の運用に際しては、自社を監査する会計士がOKを出したやり方に準ずるのが最も会社経営上リスクがないやり方であろうと思います。

ある会計事務所のホームページには「輸出入の場合には、CIF、FOB の条件にかかわらず、通常、所有権は船積日(B/L 日)で移転します。」という記述もあり、これはIFRSの基準と矛盾します。

したがいまして、実際の仕入業務にあたっては、事前に会計事務所に相談しておくことが必須になります。

輸入諸掛、関税の扱い

輸出入ではさらに、通関委託手数料や貸倉庫代など乙中から請求される諸掛や、輸入関税も考慮しなければなりません。これらは仕入れ代金に組み込んだ上で在庫評価額を算定するため、仕入業務では特に重要です。

関税は品目別に課されます。HSコードに則り、輸入物品の関税率が決まるのが原則ですが、担当者の判断により同じ品目でも担当者によりHSコードが変わるということも現実に起きているようです。関税の扱いはこのようなイレギュラーなケースも扱えるかどうかもシステム選びの際には顧慮したいポイントではないでしょうか。

Incotermsと生産管理・販売管理・在庫管理・原価管理システムの接点

Incotermsの1つ1つに対応したシステムというのは恐らくないのではないかと思います。また、Incotermsと仕入処理の関係も個別に会計士に相談確認する事柄となります。

本件に関してシステムの機能において重要なポイントは、

出荷基準(B/L日付)、船積基準、引渡基準のように柔軟に移転日に対応できるか否か

という点になろうかと思います。

手前味噌になりますが、弊社はタイにおける会計基準の流動性や会計士の勧告を理解した上で適切な運用指導が行えると自負しております。
そのためのツールとなるEXEX生産管理システム、EXEX販売管理システムは様々な基準日に柔軟に対応できる設計コンセプトになっております。

また、Packing List、輸入諸掛、輸入関税の扱いもEXEX生産管理システム、EXEX販売管理システムは標準機能で対応しております。