この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システムなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

第16回:生産計画の2つの側面―在庫と設備

生産計画の具体的な方法をお客様にトレーニングしていると、どうも筆者の説明を理解してもらえないところがあります。
何度お話しても、次に来た時にはすっかり忘れられている。
どうしてこういう事態になるのかとふと考えたとき、生産計画に関するソフトには2つの側面―在庫計画と設備能力計画―があり、生産計画ではこの2つの側面をカバーしないと困った事態になるということがご理解されていないことに気づきました。
本日は、生産計画のこの2つの側面についてお話致します。

在庫計画とは

工場で扱う品目には製品、半製品、材料、部品、外注加工品等々様々なタイプがありますが、生産計画で最初に考えなければいけない在庫は製品在庫です。
製品在庫が不足すると、すなわち出荷できない、納期遅延発生、お客様との取引停止が起こりえる、というようにかなり困った状況に陥ります。

適切な在庫がないと ・・・
 納期遅延
 確定受注変動に耐えられない

出荷に間に合うように完成品が完成品倉庫に入庫されるように計画を組まなければならないということが第一段階。
=> これを計画するのが一般的に「基準生産計画」と呼ばれる機能です。

さらに、製品には様々な部品や材料や外注加工品が必要となりますが、最終完成品の着手日に間に合うように最終工程の部品や材料が手配されなければならず、さらにその前段階の中間品に必要な部品や材料が手配されなければならず・・・こういうことが一番最初に着手しなければならない孫中間品レベルまで考慮しなければなりません。
=> これを計算するのが一般的に「MRP」と呼ばれる機能です。

ここまでのステップを一言で表現すると
「工場の能力は無視して、とにかく日別に品目ごとに在庫計画を作ってしまう」
ということになります。

設備計画とは

在庫計画を作成しているときは、設備の能力を無視していたが・・・現実は設備の能力までを考えながら在庫の計画を作るのはコンピュータ並の頭脳を持ってしてもかなり難しいからそうせざるを得ないのですが・・・この次に考えなければならないのが、設備能力です。
計画担当者が実現不可能な無茶な計画を作ると必ず現場から「あいつは現場が分かっていない」と怒鳴られてしまい、やはり困った事態になります。

能力を考えた計画でないと ・・・
工場の能力以上=非現実的=実現不可能

能力と納期を見ながら可能な限り最適に、具体的にどの機械で何月何日の何時何分から何時何分までどの工程を処理するのかを計算してくれるのがスケジューラーです。

しかし、能力以上の在庫計画に対してはスケジューラーでも解決はしてくれません。そのような事態になると、スケジューラーは在庫計画に対して、「この計画のここが無理だからここで在庫計画が実現できなくなる」というアラームを上げてくれます。
このような事態になったら
・実現不可能な在庫計画は出荷に影響するのか?
・出荷に影響するならば、他の製品の納期を遅くし代わりに出荷遅れになりそうな製品の製造優先順位を上げてみよう
・遅れてしまう品目の生産ロットを小さくしよう
というような調整をする必要があります。

弊社システムでの具体的な計画手順

上記のコンセプトの下、弊社が生産管理システムEXEXと生産スケジューラーAsprovaで実現した具体的な生産計画手順チャートが下図になります。

計画手順チャート

ご覧のとおり、計画作成までにいくつもの画面・システムを操作することになり、最初は非常にハードルの高い操作に感じられるかもしれませんが、本日お話した基本コンセプトに立ち返り「今、何をしているのか」を理解すれば計画システムの操作は実に簡単に感じられるはずです。