この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システムなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

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第18回:生産管理におけるタブレットの可能性(2)

前回は、タブレット端末を導入し生産進捗のリアルタイム把握の面で劇的は改善を遂げた弊社のお客様の事例と、タブレット端末導入に関わる注意点に言及しました。
ところで、弊社がタブレット端末による生産状況のリアルタイム把握を推奨する理由には他に、もっと大きな理由があります。それは、タブレット端末を用いたPDCA(Plan Do Check Action)の実現が工場の生産性向上、納期遅延撲滅、適正在庫実現、稼働率向上、原価低減、営業利益率向上につながるという点です。

PDCAサイクルとは

Plan(計画)をDo(実行)した結果、PLANと現実のDoの乖離を検証(Check)し、次のアクションにつなげていくという意味で、これを常に繰り返す(Cycle)することをPDCAサイクルと言うようです。
この言葉自体は広く浸透し誰でも知っていることと思いますが、実際にPDCAが実現できている工場はどれほどあるのでしょうか?筆者の知る限り、大変失礼ながら創業以来、現場担当者の経験と勘で常に納期遅延を心配しているという会社も多いのではないかと思われます。

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PLANはBOMから始まる

「PLANはBOMから始まる」・・・この言葉、筆者が今思いつきで言ってみたのですが、自画自賛になってしまいますが、何とも的を得た言葉に思えます。
これまで生産スケジューラーの機能についてもいろいろな記事を書いてきましたが、生産スケジューラーを有効に使いこなすには大前提があります。それは「BOMの精度が高いこと」です。
ここで言うBOMとは、工程情報のうちの、標準工数(サイクルタイム、タクトタイム、スタンダードタイム)や標準段取り時間やのことです。

標準工数の決め方には過去様々な方法が研究されているようですが、筆者の見る限り多くのタイの工場では試作段階での理想的な状況下での工数が長らく流用されていたり、さらに酷いケースでは何年も前に誰かが根拠の明確でない理由で設定した標準工数をなんとなく新機種にもそのまま適用している、といった笑えないケースも多々見聞しました。
スケジューラーやMRPが計算する生産計画は全て標準工数が元になっています。
しかし、すでに今日の納期を間に合わせるのに手一杯になっている現場や生産管理スタッフに、何百機種のそれぞれの何十工程を微にいり細にいり正確に標準工数を出せと言うのは非現実的な話でしょう。
そこで、筆者が提案するのは、今の標準工数のままとりあえず計画を作ってみて、実績と比較してみてはどうか、という方法です。

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DOを見える化するのがタブレット

さてDo(実際の生産)の結果を後から見える化するにはデータを貯めることが必要です。

計画:xx月xx日xx時xx分 ~ xx月xx日xx時xx分 (計画所要時間:xxx分)
実績:yy月yy日yy時yy分 ~ yy月yy日yy時yy分 (実績所要時間:yyy分)

というように計画と実績を比較するというプロセスがどうしても必要になります。

現場の生産担当者に開始・終了・中断時間を克明に日報に記録しろと命じても、モノ作りが本業の現場担当者が日報を記録するのに時間が取られては本末転倒の事態になります。

そこで筆者が提案するのが、タブレット端末の利用です。

弊社の開発した実績収集システムは、タブレット画面の開始ボタンを押した瞬間を開始時刻として収集し、終了ボタンを押した瞬間を終了時刻として収集します。
さらに、機械の故障による中断や再開、QC活動による中断と再開など、細かく実績を収集することができます。
前回の記事でもお話しましたが、一回の操作は極めて簡単、15秒程度で終わるので、現場担当者の負担にはならない配慮をしています。
最も、この15秒は会社にとって重要な仕事だと現場担当者にはよく理解してもらう必要は当然ながらあります。

データ解析精度を上げるためには、収集するデータはできるだけ多くすべきです。
そのためには全ての現場担当者から歩いて数歩の位置にタブレット端末ステーションを配置することです。大きな工場では何十ものタブレット端末ステーションが必要になるでしょう。台数が増えるとお金もかかりますが、タブレット端末は財布にも優しいのが長所です。

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Checkするのはデータ解析

タブレット端末から登録されたデータは工場の規模にもよりますが、一ヶ月もすると数千件から数万件に及びます。

このデータを解析するのが次のステップです。
弊社の日本本社ではBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアやデータウェアハウスシステムの構築を行っています。確かにこれらのソフトウェアは便利なツールではありますが、悲しいことにそれほど安価ではありません。

そこで、筆者が提案するのがMicrosoft Access(通称:Access、アクセス)の活用です。

Accessにはクエリーという機能があり、この機能を使うとプログラマー以外にはややとっつきづらいSQLというデータベース操作言語を覚えることなく、高度なデータベースの検索ができます。AccessはMicrosoft Officeの製品グループに入っていますが、通常ではOffice製品には同梱されていないので個別にご購入して頂く必要がありますが、不確かな記憶ながら1万円程度の価格ではなかったかと思います。

筆者は、打ち合わせ中にお客様のご要望に応じて即席で、お客様が見たい形でのデータをAccessのクエリーで作ってしまうことはよくあります。

どのソフトを使うかは方法論ですが、いずれにしましても

・標準工数と実際の工数の乖離
・段取り時間の回数、時間
・現場ワーカーの非稼動時間
・機械の故障時間
・不良発生数

などを解析していくと、現時点のBOMで修正しなければいけない点が見えてきます。

解析結果をBOMに反映すれば、この次に生産スケジューラーが立案する計画はより現実に近づいていくはずです。

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Actionするのが人間

さて、見える化、データ解析、これらは確かに大事なことですが、これだけでは業務の改善にはつながっていきません。

別の言い方をしますと、
見える化しただけでは、工場の生産性や利益率は全く向上しません

次にすべきことは

・実際の工数をもっと短縮できないか
→そのためには、工数が多くなりがちなAさんとBさんの習熟度を上げさせないといけないのか?

・段取り回数をもっと減らせないか
→そのためには、機種ごとにある程度ラインを固定化した方がよいのか?

・ワーカーの非稼動時間を減らせないか
→そのためには、途中工程の中断を防ぐために、ある程度のバッファー在庫を持たせるべきなのか?

などと改善ポイントとその対策を工場長、生産管理スタッフ、現場担当者が一丸となって取り組んでこそ効果が出てくるものと思われます。

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生産管理システム+生産スケジューラー+タブレットによる実績収集=儲かる化

最後に、本日筆者が主張したことをまとめます。

生産管理システム、生産スケジューラ、タブレットによるリアルタイム実績収集・・・これらは単独でも有効、便利なシステムではあります。
しかし、これらのソフトのアウトプットを結合させ、人間によるPDCAサイクルが実現したときに初めて、工場の生産性は向上し、原価は低減し、利益は拡大するものであろうと思います。

弊社はそのために、ソフトウェアの操作方法に留まらず、どうデータを有効活用し、お客様の社員にPDCAの習慣を身に着けて頂けるかという、一歩踏み込んだご提案をしております。

弊社が目指しているのは、生産管理システムや生産スケジューラーやタブレット端末システムを販売することではなく、これらを有効に組み合わせて活用することによって、お客様の工場が儲かる工場に変わることなのです。

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