この記事シリーズはタイで生産管理システム、販売管理システム、在庫管理システム、原価管理システムなどのいわゆる基幹業務システムを構築する際に留意すべきことを筆者の経験を踏まえてお話していきます。

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第20回:タイ・ベトナムでロットトレーサビリティを実現するために必要なこと(2)

前回の記事では、
・ロットトレーサビリティを実現しようとするとどんなに便利なソフトウェアを利用しても管理コストは上がってしまう
・日本人はロットトレーサビリティ実現の重要性を認識していても、タイ人にはその重要性が理解できない
・そのため、ロットトレーサビリティ実現のためのソフトウェアを導入してもタイ人主体の運用段階で躓くことが多い
というお話をしました。

今回は、こういう状況を踏まえた上で、どうしたらタイ・ベトナムでもロットトレーサビリティを実現できるかを筆者なりに考察してみます。

5Sのレベルを向上させる

整理、整頓、清掃、清潔、躾の5Sは多くの日系企業が取り組んでいらっしゃいますが、全てではございません。
5Sに取り組む当初は、タイ人やベトナム人は非常に細かい煩わしいことと感じることでしょうが、煩わしいことでも仕事だからやらなければならないと、躾けることが第一かと思います。
製造業の在庫管理は「先入れ先出し」が基本なのは言うまでもございませんが、先入れ先出しは倉庫の置き場が古い順から順番に取り出せるようにすっきり整理整頓できていることが基本となります。例え、ソフトウェアで古いロット番号から先に払い出せと指示されても、現実の倉庫でそのロット番号か簡単に見つからない状況では絵に描いた餅になることは間違いないでしょう。

ロット管理以前の在庫の受け払いを正確に記録(登録)できる状態にする

何月何日何時何分に、何を何個、どの製造番号のために、どこに払い出したのか、これを間違いなくシステムに登録できる状態にすること。
紙ベースの日報/伝票ではリアルタイムでの正確な記録ではなく、一日の終りに記憶に頼って記録し、そして間違えるということが起こります。
そういうことは許されない、ということをワーカー全員に周知徹底させる。

部門間のコミュニケーションを活発にさせる

ロットトレーサビリティは工場全体が一丸になって取り組まなければ実現できない課題です。
それは例えば製造部門が完成品を入庫したら、製品倉庫部門に伝え、ラベルを印刷して箱に貼るなど、これまで以上に部門間の密なコミュニケーションが求められてしまうからです。
工場全体とは、工場長はもちろん、生産管理、製造部門、QC部門、材料倉庫部門、購買部門、営業部門、出荷処理部門、場合によっては乙中のトラック運転手にまで協力してもらわなければ実現できません。しかしながら、例えば製造部門と生産管理部門がうまくコミュニケーションがとれている工場は必ずしも100%ではないという現実を筆者は目にしております。部門間のコミュニケーションをどう潤滑にさせるかということは筆者にもなかなか良いアイディアは浮かびませんが、仕事以外のパーティー、社員旅行などもあるいは糸口になるのかもしれません。

これでも十分な対応策とは言えないでしょうが、いずれにせよソフトウェアの機能以上に工場内の人全員の意識レベルのボトムアップはロットトレーサビリティ実現に不可欠であることは間違いございません。